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【ぴあ×スポビズ】#2 ぴあサポートクラブ・浦和レッズ(後編)

「一度しかない人生、“どこにいきたいか”ではなく“何がしたいか”」

浦和レッドダイヤモンズ(株)マーケティング本部 白川潤部長

2021.01.19

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ぴあは浦和レッズのTOP PARTNERであり、クラブのオフィシャルチケットサイトである「REX TICKET」をともに運営。また、ぴあスタッフが浦和レッズのホームスタジアムである埼玉スタジアム2002に1人常駐し、年間を通してチケッティング、マーケティングに関するサポートをしています。

インタビューに応じていただいた白川さんは、2008年に浦和レッドタイヤモンズに入社。後編では、白川さんが浦和レッズで働くまでの道のりを紹介。そこにはスポーツ業界で働くということへの真剣な思いと、スポーツが持つ魅力への熱い信頼がありました。

――浦和レッズへの転職のきっかけは?
小さい頃はオランダに住んでいて、サッカーが大好きでした。中学・高校時代は水泳、大学時代はアイスホッケーをやっていて、広告代理店に就職したときも「スポーツの仕事がしたい」と考えており、いつかスポーツの部署に行けるのだろうなと思っていました。そのような中、海外留学をさせてもらったときに、外国の人たちと「俺は人事異動でスポーツのところに行きたいんだよね」なんて話をしていたら、「お前はださいな」と。「人事異動を待つ人生なんだな」って言われて、「図星を突かれた」と思いました。

悔しいですが、確かにそう。一回しかない自分の人生は自分で作っていかなければなりません。いつか自分の希望の部署に行けるならそういう人生もありなんですが、行けたとしても代理店は代理店。けれど、自分の思うとおりにしたいと考えたときに、自分の人生は代理店というポジションではないのだろうなと思いました。それが30か31歳のときです。家族もいましたから、じゃあ早いほうがいいと考えて退職を決めました。

そこに実は「サッカーを続ければよかったな」という後悔や、水泳でもアイスホッケーでも1位になれなくて「日本一を目指したい」という思いもありました。その頃、浦和レッズが初めてアジアチャンピオンになったことと、私自身が浦和出身なので、人伝えで浦和レッズの人を紹介してもらい「入れてください」と相談しました。

――白川さんのようにスポーツ業界に就職したい人たちはたくさんいると思いますが、就職・転職の現状とは?
確かに入りたいと思ってくれている人たちはいっぱいいますね。でも、「何ができるの」「何がしたいの」と。浦和レッズに所属したいのか、何かを成し遂げたいという強い思いがあって入りたいのか、同じ「入りたい」でも、これが大きく違うところです。

加えて、「こういうことを成し遂げたい」という思いを持っていて、且つ能力のある人というのは、当然市場からの評価も高くて、それなりの対価が支払われるべきです。しかし、スポーツ業界は恐らくマッチしないというズレがあるのも現状だと思います。まず対価を払うということは、それだけの収益を上げなければいけないという前提がありますし、雇用制度にしても変えなければならないことがあり、育成している余裕がないという現実もあります。

ハッキリと言ってしまうと、私自身はプロフェッショナルが集まるほうがいいという考えです。金融業界のプロが来て財務をやったり、ほかの業界の営業のトップが来るとか。当然しっかりと対価を支払って。というのも、我々はJリーグの中だけでビジネスをしているわけではなく、映画やレジャー施設などそういったお客様の“時間”を考えたビジネスとの競争もある中で、そこの人材にも勝っていかないといけない。育成もしなければいけないのですが、能力を持った人間の集まりでないと競争に勝てないのではないかなと思っています。

――そんな中でもこれからスポーツ業界への就職や転職を考える人たちが持っておいたほうがいいと思うスキルや知見は?
よく「スポーツ業界」と特殊風に言われることがありますが、基本的には一般企業と同じです。総務や経理、営業、広報、PR等々どこの企業とも同じように必要ですし、スポーツ業界においてもどのスキルでも生きていく道はあります。

敢えて私の部署のチケット販売で言うと、人がどういうきっかけでどのように物を買うのか勉強しておくといいのではないでしょうか。あとは時代的にも、SNSを中心としたデジタルの活用方法は、若い人は特に持ってないとダメだと思いますね。全体的なことで言うと、マーケティング。と、一言で言ってしまうと大雑把かもしれないですが、本当に基礎でいいので、その知識は持っていてほしいと思います。これは多くの部分で必要になってきますので。

且つ大学生に敢えて言うとすれば、違うところに就職しなさい、と。知識と経験は大事です。その意味でも、もしアドバイスをするならば、スポーツ業界で働きたいという志を持ち続けながら違う業界に数年間身を置けるのかどうか。「どこに入りたいか」ではなく、1回しかない人生で「自分が何をしたいのか」、整理することも大切だと思います。

マーケティングもそうなのですが、どの仕事も一緒で、人と人との接し方、人付き合い、相手の気持ちを考えるとか、人と仕事をしていく中で取るべき行動はなんなのかと考える感覚ですよね。飲みにつきあうのは億劫かもしれないけれど、様々な人と接点を持つ意味でつきあうとか、普段から「いい天気ですね」と会話をするのもそうかもしれない。スポーツ業界に限らず、人と人との中で生きていく、このフワッとした難しいところは、社会に出ないと気づかないのかもしれないですが、スポーツ好きの人が多い現場だと、なおさらロジカル的なことよりもエモーショナルなところで事が進むこともあるので、スポーツ業界は特にその感覚は持っておいたほうがいいのではないかと思います。

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いろいろ厳しいことも言いましたが、自分がやった仕事がこんなに目の前に見えるってないんですよ。それがこの業界の魅力です。僕が営業をがんばったことによって会社としての収入が増えて、チームを強くすることができ、ファンやサポーターの皆さんも喜んでくれるんです。そして、スポーツは予定調和のようにはいかない。これが楽しい。本当は喜ばせ続けたいですけれどね、スポーツってそうはいかないんです。負けがあるからこそ、勝ちがより楽しくうれしく感じられる。この振り幅があるのが、スポーツ界の中の大きな特徴かなと思うんですよね。

レッズに転職して最初にホームゲームの時に感じたのですが、開幕戦の選手が入場する直前、何万人という人たちが「うらーわレッズ!!」ってコールをしますよね、僕も浦和レッズの一員ですよね、自分が所属してる組織をこんなに応援してくれてる人がいるって、これはもうやんなきゃいけないと思いますよね。自分はそれに恥じない仕事をしなきゃいけないなと思っています。

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PROFILE
白川潤
浦和レッドダイヤモンズ(株)マーケティング本部
部長(競技運営担当 兼 REX CLUB & マーケティング担当)

浦和レッドダイヤモンズ公式サイト
浦和レッズ公式Twitter

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